LAN延長(LANエクステンダー)とは
有線LAN延長の方法
有線LANは通常100mが上限とされますが、企業や工場のネットワークではさらに長距離の配線が求められることがあります。その場合、LANエクステンダーや光ファイバー、VDSLモデムなどを用いることで数百メートルから数キロメートルまで延長が可能です。用途に応じた方式を選ぶことが安定運用の鍵となります。
 
  
      LANエクステンダー、LAN延長器、LAN延長装置とは
LANエクステンダーは、DSL技術を用いてメタル線(電話線)を使用し長距離伝送を行う装置です。モデルによって既設の構内メタル線の有効活用、キロ単位の延長、PoE電力の延長が可能になります。
 
  
      長距離無線LANとの違い
LAN延長が有線をベースにしているのに対し、長距離無線LANは電波を利用してネットワークを延ばします。無線方式は設置の自由度が高い一方、周囲環境による干渉や安定性の課題があります。エクステンダーを用いた有線延長は、産業用途や高信頼性を求められる現場に適しており、安定性とセキュリティの確保が可能です。
 
  
      LAN延長(LANエクステンダー)の種類とそれぞれの特長
PoEエクステンダー
PoEエクステンダーはLAN信号だけでなく電力も同時に延長できるため、IPカメラや無線APの遠隔設置に有効です。電源工事が難しい場所でもPoE給電により容易に機器を設置でき、監視カメラシステムやセキュリティ用途で多く導入されています。中小規模のオフィスから大規模施設まで幅広く活用されています。
IEXT101PH-L/Rは、LANケーブルでは不可能であった距離延長と共に、PoEにより電力も延長します。電源はローカル側のみでOK、リモート側に電源不要で最大800m延長可能です。
型番:IEXT101PH-L/R
特長:距離延長 + PoE延長
距離:最大800m
ケーブル:UTPケーブル 2ペアまたは4ペア
 
  
      SHDSLモデム
SHDSLモデムは対称型DSL技術を用い、上り下りともに安定した通信速度を提供します。既存のメタル線(電話線)や専用線を利用して数キロメートル規模のLAN延長を実現します。特に双方向で安定した帯域を必要とするアプリケーションに適しています。
Comet1600Fシリーズは、既設のメタル線(電話線)を用いて、伝送距離をキロ単位で延長可能です。構内のメタル線を有効活用し、低コストでネットワーク(LAN)の延長を実現します。メタル線1ペア/2ペア/4ペアモデルをラインナップ。
型番:Comet1602F(1ペアモデル)
Comet1604F(2ペアモデル)
Comet1608F(4ペアモデル)
特長:メタル線1ペアあたり最大5.7Mbps(4ペア最大22.4Mbps)
距離:最大7km
ケーブル:メタル線 1ペア/2ペア/4ペア
 
  
      VDSLモデム
VDSLモデムは既存のメタル線を活用し、比較的高速なデータ通信を可能にする延長方式です。集合住宅や商業施設など、既存配線を流用してネットワークを拡張したい場面で効果を発揮します。設置コストを抑えながら一定の通信速度を確保できるため、導入のしやすさが魅力です。
VDTU-2B130-Sは、メタル線またはLANケーブルを用いて、伝送距離をキロ単位で延長します。SHDSLモデムより短距離ですが、双方向最大300Mbpsの高速通信が可能です。
型番:VDTU-2B130-S
特長:最大300Mbps(上150/下150Mbps)
距離:最大2km
ケーブル:LANケーブル 2ペア
 
  
      アナログモデム
アナログモデムによるLAN延長は、古くから利用されてきた方法で、低速ながら長距離通信が可能です。レガシーとなり近年は高速化ニーズにより利用は限定的ですが、遠隔監視や制御システムなど、低速でも確実な通信が求められる用途では依然として活用されています。導入コストが低い点も特徴です。
T-336Cxは、メタル線を用いて伝送距離をキロ単位で延長します。アナログ電話回線の通信網を使って通信を行います。
型番:T-336Cx
対応規格:V.34+、V.34、V.32、V.32bis、V.26bis、V.22bis V.22/Bell 212A、V.23、V.21/Bell 103
インターフェース(DTE):EIA RS-232C、ITU-T V.24/V.28
インターフェース(Line):RJ-11(ダイヤルアップ用) 、JM8(leased line)
ケーブル:メタル線 2ワイヤ/4ワイヤ
 
  
      LAN延長(LANエクステンダー)の活用シーン
工場
大型工場では制御システムや監視カメラを広範囲に配置する必要があります。LANエクステンダーを導入することで、敷地全体をカバーしつつ安定した通信を確保でき、生産ラインの効率化やセキュリティ向上に貢献します。
商業施設
広い商業施設ではテナントや共用部にわたるネットワークが求められます。LAN延長を用いることで、館内全体で統一された通信環境を提供でき、監視カメラやPOSシステムの安定稼働に寄与します。
スキー場
広大なゲレンデや施設間をつなぐためにLAN延長が利用されます。リフト監視やチケットシステム、カメラ監視など、広域で安定通信が求められるシーンに適しています。
駐車場
屋外駐車場や立体駐車場では監視カメラや精算機が遠隔地に設置されることが多く、LAN延長が必須となります。有線延長を用いることで、安定性の高いセキュリティシステムを構築できます。
工事現場
一時的なネットワーク構築が必要な工事現場では、LAN延長が柔軟に対応します。監視カメラや作業管理システムを現場全体に展開でき、安全性と効率性を高められます。
駅構内
広い駅構内では改札機や券売機、監視カメラなどを安定して接続する必要があります。LANエクステンダーの導入により、既存インフラを活かしつつ長距離の有線接続を可能にします。
LAN延長(LANエクステンダー)に関するよくあるご質問
LAN延長とは、通常100mの制限を超えて有線LANを拡張するための技術・装置を指します。LANエクステンダーを利用することで数百メートルから数キロメートルの距離をカバーできます。
代表的な方法として、LANエクステンダー、光ファイバー、VDSLモデム、SHDSLモデムなどがあります。用途や環境に応じて最適な方式を選ぶことが重要です。
無線中継装置を使用してLAN延長することも可能です。
詳細はこちら ( 長距離無線LANとは ) のページをご覧ください。
既設のメタル線が敷設されている場合は、工場/駐車場/駅構内などに利用されるケースがあります。
工場現場などでは100m以上先の端末と通信を行うため、LANケーブル以上の距離で利用できるメタル線を利用した通信手段として活用されています。
電源のないポイントでPoEデバイスを使いたい/LANケーブルをラストワンマイル届かせたい場合に、活用するケースもあります。
方式によって異なりますが、VDSLでは数百Mbps、SHDSLでは数十Mbps程度が目安です。用途に応じて必要な帯域幅を確保できる方式を選択することが大切です。