長距離無線LANとは
長距離無線LANとは
長距離無線LANは、無線通信技術を使用して広範囲で通信するためのローカルエリアネットワーク(LAN)の一種です。通常、無線LANは比較的近距離で通信を行うための技術ですが、一般的な家庭やオフィスで使用される無線LANとは異なり、数百メートルから数キロメートル以上の距離をカバーすることができる無線通信技術のことを指します。この技術は、遠隔地や難アクセス地域での通信、ケーブル敷設が困難な河川、山間部、道路を跨ぐ通信、大規模な施設やイベントでのネットワーク構築など、さまざまな用途で利用されています。
長距離無線LANを実現するための技術には、特定の周波数帯域を使用することや、信号の増幅技術、高感度の受信機などが含まれます。これによって、通常の無線LANよりも遠距離での通信が可能となります。一般的な無線LAN規格(Wi-Fi)を長距離通信に適用する場合もありますが、専用の長距離無線LAN技術も開発されています。弊社では、60GHz帯、70GHz/80GHz帯のミリ波を使用した長距離無線および2.4GHz帯を使用した長距離無線を提案致します。
長距離無線LANの特長とメリット
長距離無線LANの主な特徴は、ケーブルでは延ばしきれないエリアをカバーすることができる点にあります。また、物理的なケーブルを敷設する必要がないため、従来の有線ネットワークのように距離に制約されずに構築が可能です。メリットとしては、以下の点が挙げられます。
設置の柔軟性:難アクセス地域や特定の地形でも、無線であるため設置が容易です。
コスト削減:物理的なケーブルの敷設や維持費用が不要となるため、初期投資やランニングコストを削減できます。
拡張性:需要に応じてネットワークを拡張することが容易で、中継器を追加するだけでカバー範囲を広げることができます。
長距離無線LANの用途
屋外での利用シーン
長距離無線LANは、その特性上、屋外での利用が一般的です。特に、遠隔地やケーブル敷設が難しいエリアをカバーするような通信に適しています。例として、山間部や離島、河川や道路を跨ぐエリア、大規模なイベント会場、キャンプ場、農地や工場などの広範囲なエリアでのデータ通信が挙げられます。
長距離無線LANは、主に以下のような用途で利用されます。
遠隔地へのネットワーク接続:偏遠地や島など、有線インフラの敷設が難しい場所において、ネットワーク接続を提供する手段として活用されます。
災害時の通信復旧:災害が発生した際に、通信インフラが破壊された地域で、緊急時の通信手段として長距離無線LANが活用されることがあります。
産業用途:工業施設や農業地域などで、広大なエリアでのネットワーク通信が必要な場合に使用されます。
バックホール:Wi-Fiアクセスやカメラネットワークなどの末端接続のためのバックホールネットワークに使用されます。
長距離無線LANは、セキュリティカメラや無線機との連携にも利用されています。特に、ネットワークのないエリアを監視する必要がある場合や、遠隔地での通信が必要な場所でのセキュリティ対策としてカメラの導入が進められ、これらをネットワークと連携させるために長距離無線LANが用いられています。また、救助活動や災害時の緊急通信として、長距離無線機との連携が行われることもあります。
カメラや無線機との連携
長距離無線LANは、セキュリティカメラや無線機との連携にも利用されています。特に、ネットワークのないエリアを監視する必要がある場合や、遠隔地での通信が必要な場所でのセキュリティ対策としてカメラの導入が進められ、これらをネットワークと連携させるために長距離無線LANが用いられています。また、救助活動や災害時の緊急通信として、長距離無線機との連携が行われることもあります。
主な業界や用途
長距離無線LANは、さまざまな業界や用途での利用が拡がっています。農業では、広大な農地での機械制御やデータ収集に使用されます。鉱業や建設業では、遠隔地での作業を効率化するための通信手段として採用されています。また、観光地やリゾートエリア、キャンプ場などでは、訪問者へのインターネット接続サービスの提供に利用されることもあります。
ネットワークの拡張と接続
距離を延ばす方法
無線LANの通信距離を伸ばすためには、いくつかの方法が考えられます。
高出力のアンテナの使用:アンテナの出力を高めることで、送受信の距離を伸ばすことができます。
中継器の設置:信号を中継して距離を延ばすための中継器を設置することで、通信エリアを拡大することができます。
適切な周波数帯の選択:通信環境や障害物の影響を受けにくい周波数帯を選択することで、安定した通信を実現します。
従来のLANケーブルでは最長100mが限度、これでは思うようにネットワークが拡張できません。特に屋外エリアでは道路や河川を跨ぐ通信やセキュリティカメラのネットワーク延長が必要なケースは非常に多く、接続距離も数百メートルから数キロというケースが多いです。そのようなケースを解決するソリューションが長距離無線です。接続したい各拠点に装置を設置すれば1Gbps〜10Gbpsまでの高速ネットワークを構築できます。また、これらの装置はPoE出力機能も有しており機器配下にWi-Fiアクセスポイントやセキュリティカメラなどを直結することができ工事も容易となります。
拠点間接続の種類と方法
拠点間のネットワーク接続には、以下のような種類と方法があります。
ポイントツーポイント接続:2つの拠点を直接接続する方法。例えば、本社と支社を直接結ぶ場合などに使用されます。
ポイントツーマルチポイント接続:1つの中心拠点から複数の拠点へ接続する方法。中心拠点から放射状に複数の拠点と通信する場合に適しています。
メッシュ接続:複数の拠点が相互に接続される方法。一部の拠点が通信不能になっても、他のルートを通じて通信を継続することができるため、信頼性が高いです。
長距離無線LANの導入と設置
導入時の設置計画のポイント
長距離無線LANの導入時には、以下のポイントを考慮することが重要です。
サイトサーベイ:設置予定地の通信環境を調査し、最適な機器の選定や配置を計画します。
障害物の確認:建物や樹木などの障害物が通信の障壁となる可能性があるため、これを考慮した配置を行います。
アンテナの向きや高さの調整:通信品質を最適化するため、アンテナの向きや高さを適切に調整します。
接続シミュレーションが可能
Sikluのリンクバジェットカリキュレーター(LBC)を用いることで現地に設置した場合の接続性、降雨への耐性、拠点間の電波強度を予め算出することができます。
長距離無線LANの通信距離
60GHzでの1.6kmの通信実績
長距離無線LANの技術は、近年の進化により、1kmはもちろん、〜2km、〜4kmといった距離でも通信が可能となっています。60GHz帯のVバンドであれば300mの通信から1kmの通信に実績があり安定した通信を提供しております。また、さらに距離を伸ばしたい場合などは1ftアンテナを用いて通常上限1kmの接続距離であったところを1.6kmまで延長した実績もございます。さらに70GHz/80GHz帯のEバンドを用いることで〜2km、〜4km、Eバンドでは1Gbps/2.5Gbps/10Gbpsまでの高速接続にも対応しており、より大容量のネットワークを構築するのに最適な機器となっています。
制限要因
長距離無線LANは、使用する機器や技術、環境によって異なりますが、数百メートルから数キロメートルの距離をカバーすることができます。しかし、その距離は建物や樹木、地形などの障害物や、電波の干渉、気象条件などの外的要因によって制限されることがあります。接続させる際には見通しが取れていることが前提となります。
電波の到達距離とその影響
電波の到達距離は、電波の周波数や出力、アンテナの特性などによって決まります。高い周波数の電波はデータ転送速度が速い反面、到達距離が短くなる傾向があります。逆に、低い周波数の電波は到達距離が長いものの、データ転送速度が遅くなることがあります。また、電波の到達距離は、障害物や気象条件によっても大きく影響を受けるため、設置場所や環境をよく考慮する必要があります。また、周波数帯によって免許が必要なものもあります。
60GHz帯:接続距離が短い、高速接続可能、干渉がほとんどない、免許不要
70/80GHz帯:接続距離が長い、高速接続可能、干渉がほとんどない、免許必要
2.4GHz帯:接続距離が長い、速度が遅い、一般的なWi-Fiとの干渉がある、免許不要
長距離無線LANの選び方
長距離無線LAN製品を選ぶ際には、以下のポイントを考慮すると良いでしょう。
通信距離
必要なカバー範囲に合わせて、適切な通信距離の製品を選びます。
1対1のセットで接続できる距離もあればそうでない場合もあります。1対1のセットで対応しきれない距離の場合は、いくつかのセットを組み合わせ接続距離を伸ばしていくのも方法の一つです。
データ転送速度
使用目的に応じて、必要なデータ転送速度を持つ製品を選びます。例えば、ビデオ通信や大容量のデータ転送が必要な場合は、高速な製品を選ぶと良いでしょう。60GHz帯の製品は映像伝送には非常に最適な製品で、映像伝送の際には送受信の割合を変更することができる機能が備わっっており、免許も不要で利用できます。
耐障害性/耐環境性
設置環境や使用目的に応じて、電波の干渉や障害物の影響を受けにくい製品を選びます。また、防水防塵に対してIP67規格に対応したものや、塩害に対応して取付金具なども用意しております。
光ファイバーなど有線ネットワークの延長が困難な場所へネットワークを延長できるのが長距離無線延長ソリューションです。さまざまな環境や用途に合わせラインナップを用意しております。
導入事例
ビル間延長
カメラネットワークの延長
キャンプ場内のLAN延長
ゲレンデ無線中継
製品ラインナップ
長距離無線LANとは、一般的な家庭やオフィスで使用される無線LANよりも遠く、数百から数キロメートルの距離をカバーすることができる無線通信技術のことを指します。
60GHz帯のミリ波Vバンド、70GHz/80GHz帯のミリ波Eバンド、2.4GHz帯、5GHz帯を使用して無線延長する方法があります。特に60GHz帯のミリ波は免許不要で利用できることもあり場所を問わず利用可能です。また製造中止となった25GHz帯製品の後継ソリューションとしても注目されています。
長距離無線LANは数百メートルから数キロメートルの距離をカバーすることができますが、使用する機器や環境によって異なります。60GHz帯であれば数百メートルから1キロメートル、アンテナを大きくすると1.6kmの延長(弊社実測値)が可能。
長距離無線LANの信頼性は、使用する機器の品質や設置環境、天候などに影響されますが、適切な設定と機器選定を行えば非常に高い信頼性を持つことができます。
長距離無線LANは、遠隔地や難アクセス地域での通信、大規模な施設やイベントでのネットワーク構築、産業用途など、さまざまな用途で利用されています。詳しくは、本ページの「長距離無線LANの用途」「長距離無線LANの導入事例」をご覧ください。
長距離無線LANの製品は、高い通信速度、長距離に対応した接続性能、耐候性や耐障害性などの特徴を持っています。
長距離無線LANは屋外での使用を前提とした製品の作りとなっており、IP67の防水防塵規格など耐候性や防水性などの性能を備え屋外に最適な仕様となっています。ですが屋外用途だけではなく、屋内のイベント会場や物流倉庫などでも利用されており屋内外問わず利用が可能です。
長距離無線LANの導入には、通信範囲の確認、適切な機器の選定、中継地点の設定、接続性のシミュレーション、設置場所の選定、アンテナの向きや高さの調整など、詳細な設置計画が必要です。計画段階からご相談承りますので、お問い合わせページよりご相談ください。
長距離無線LANの製品の価格帯は、性能やブランド、機能によって異なりますが、一般的に数万円から数十万円の範囲となります。 ソネット株式会社が正規代理店となっている長距離無線LAN製品のSikluについては、以下のページよりご覧ください。
長距離無線LANの利用には、専用のアンテナや中継器、角度調整が行える専用の取付金具が必要です。 ソネット株式会社が正規代理店となっている長距離無線LAN製品のSikluについては、以下のページよりご覧ください。
基本的なネットワークの知識は必要ですが、製品によっては導入が簡単に行えるものもあります。導入時にはメーカーや専門業者のサポートを受けることをおすすめします。 ソネット株式会社では導入の計画段階からご相談承りますので、お問い合わせページよりご相談ください。